6月、暮らしにグリーンを

春のグリーンワークをご紹介します。最近手がけたT邸です。
昨年の秋頃造園のご依頼を頂きました。現地調査しながらヒアリング。私の思いとして大切にしたいことは、中も外もグリーンを入れたことで季節感を肌で感じ、生きたエネルギーを感じてもらいたい。そして気持ちよさを感覚として生みたいと思い、プランを練りました。

T邸は高台に建っていて、隣には大きな公園。背の高い木々がそよそよそよぐ、緑にあふれた大変気持ち良い立地です。緑にあふれた閑静な住宅地に大きく真っ白な建物。プレゼン結果はほぼ私のプラン通りにGOサインをいただけ、感無量。その後各地に木の調達です。好きな枝の傾き、ボリュームなどを吟味し仕入れ。手はずが整い、ようやく春に施工開始。

庭は建物の白が引き立つよう、芝生面積を大きくし、この建物の為に移植した大きな枝垂れ桜やキンモクセイなどの足元も緑で引き締まりました。
エントランスのシンボルツリーには、奥様からのリクエストで幹の太くて葉幅のあるオリーブを3本連座。シルバーグリーンの小葉が密集し、見事です。芝生周りは黄金色が美しいイトヒバやジャスミン。春から初夏にかけて、リビング・ベッドルーム・プレイルームからの眺めは、青々とした芝生と真っ白なハゴロモジャスミン。甘い香りが春の風と共に香り立ちます。
キッチンの横にある中庭には、お料理でも大活躍の月桂樹(ローリエ)を。成長も早いので、どんどん葉を摘み乾燥させ、保存しても良いです。
秋になりバスルームの窓を開けると、ピンク・白に咲いた沈丁花の甘酸っぱい香りがプーンと。癒してくれます。

インテリアには、リビングのソファに座った時に、ねむの木の優しい緑の葉がこぼれてくるように感じて貰えるように、植え方を工夫して。本当に見事に白の壁にねむを描いたように映えていました!ねむは朝日で葉が開き、夕方日が沈む前に葉を閉じます。その様子がなんともかわいい。日中と夜のシルエットが全く変わるのもねむのおもしろさ。大好きな木です。ローチェスト脇のリュウビンタイの、大らかにゆったりと流れる葉に安らぎを感じます。ダイニングには、立派なウンベラータを。
天井が高く壁の漆喰の白が美しい空間にそれぞれの緑が響き合い、気持ちよい空気を生み出していました。そして、リビングからの庭の眺め。奥様もグリーンの存在に深く頷かれていました。緑のある暮らし、緑を家族で育てていく心・・・。とても豊かなものだとつくづく。

私はいつも軍手に帽子・エプロン姿の指揮官です。内外で作業をするスタッフ・職人さんに説明したり、バランスをチェックしたり動き回っています。皆も、土を触り刻々と完成形に近づいていく様子に生き生きと手を動かしています。我々、緑の作業をしている者にとっても、とても楽しく豊かな仕事です。

施工が完了すればあとは奥様はじめ、ご家族が中のねむや外の芝生にたっぷりと水をあげて育てていく番です。緑は必ず人の気持ちにこたえてくれますから・・・。きっと優しい奥様や明るいご家族に。秋にまた成長したグリーンたちを見に行きたいです。我が子の成長を楽しみに思う親の気持ちに似ていますでしょうか。Tさん、楽しみにしています。頑張って育ててくださいね。
このたびはありがとうございました。

先日行われた家庭画報の撮影の件や、銀座のギャラリーでのI’m home×Nacasa & Partners の様子など、次回にお話しさせていただきます

 

 

フラワーアーティスト垂水圭竹

幼少より茶道・華道を嗜み師範となる。株式会社竹中工務店インテリアセクションを経て、LADAKH flower studioを設立。
花とインテリアの関係に重きをおいたスタイルを得意とし、独特の色彩感覚と審美眼から生まれる花の世界は多くのメディアにも取り上げられる。
インテリア・ファッション・ジュエリーなどトップメゾンのフラワーデザイン、企業や個人邸宅のグリーン・フラワーコーディネートなど幅広く手がける。
また「花・グリーンのある豊かな暮らし」を提唱したフラワーレッスンも行う。
東京・南青山にアトリエを設け、名古屋・東京を拠点に活動の場を広げる。

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